シューベルト:ピアノ作品集-4 WAKA-4171~72

イリーナ・メジューエワ(piano)

生の深淵を覗きこむかのごとく ―― 夢と現(うつつ)を彷徨う魂のゆくえ

レコード芸術2013年9月号 特選盤
WAKA-4171-72 ジャケット写真

シューベルト(1797-1828)
●disc-1
ピアノ・ソナタ (第17番) ニ長調 D850
2つのドイツ舞曲 D841、 ワルツ(「アルバムの綴り」) D844
ピアノ・ソナタ (第6番) ホ短調 D566●disc-2
12のドイツ舞曲(レントラー) D790
20のワルツ(「最後のワルツ集」) D146 より (5曲抜粋)
ピアノ・ソナタ (第21番) 変ロ長調 D960

録音:2012年12月 & 2013年4月
新川文化ホール(富山県魚津市)


WAKA-4171~72
JAN:4580359960706
STEREO/DSD録音
2013年7月20日発売


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メジューエワによる好評のシューベルト・シリーズ第四弾。今回は三つのソナタと舞曲を組み合わせた魅力的なプログラムをお楽しみいただきます。かの村上春樹氏もお気に入りというニ短調ソナタ(第17番)D850は、とりとめがなく長大で、まとめ上げるのに多くのピアニストが苦労する曲として知られていますが、メジューエワの解釈はシンプルかつ重層的。作品全体の構造を明確に打ち出しながら、各楽章の性格を丹念に描き分け、40分以上の音楽を一気に聞かせます。ホ短調ソナタ(第6番)D566も若きシューベルトに相応しい瑞々しい解釈が素敵ですが、アルバムの白眉ともいうべきは、やはり変ロ長調ソナタ(第21番)D960でしょう。シンフォニックなスケール感、深い精神性、作曲家の心に寄り添うような細やかさをもってひとつひとつのフレーズが彫琢されていくさまは、見事な職人技を見る思いがします。そして時おり現れる、生の深淵を覗きこむかのような、底知れぬ深み。シューベルトのピアノ・ソナタの最高傑作として名高いこの作品に、またひとつ名演が加わりました。併録された舞曲集もチャーミングでありながら、ふと人生の儚さを感じさせるような諦観が魅力を放っています。