三大作曲家の遺言 vol.1 WKPR-8007

田崎悦子(piano)

ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス 最晩年至宝のピアノ曲集
希有のピアニスト田崎悦子 ~鮮烈かつ魂を揺さぶる演奏~

レコード芸術2015年4月号 特選盤
三大作曲家の遺言 vol.1 田崎悦子

全集等を除き、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの最後の作品を括ったディスクは、私の知る限り世界初ではないだろうか。・・・これは田崎悦子の現在での集大成であり、音楽史に燦然と輝く不滅のレコーディングになることは間違いない。(真嶋雄大/ライナーノートより)

ブラームス:
3つの間奏曲 作品117ベートーヴェン:
ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109

シューベルト:
ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D.958 遺作

録音:2014年3月13,14日
千葉市若葉文化ホール


CD枚数:1枚
WKPR-8007
JAN:4580359960782
STEREO/DSD HDダイレクト録音
2015年2月18日発売


国外の方は、送料は別途負担となります。
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4点同時発売です。
三大作曲家の遺言 シリーズ Vol.1 ~vol.3(3set)
三大作曲家の遺言 シリーズ Vol.1
三大作曲家の遺言 シリーズ Vol.2
三大作曲家の遺言 シリーズ Vol.3

作曲家と作品に対する強い共感に貫かれた感性あふれるピアノで圧倒的な世界を創出させる田崎悦子は、1960年、10代で単身激動のニューヨークに渡り、ゼルキン、カザルス、ホルショフスキーら巨匠たちの薫陶を受けてヨーロッパの伝統に根差した芸術観を会得し、重厚な構築性と知的冒険を志向する大いなる精神を併せ持つピアニストです。30年に渡る欧米での音楽生活の中、ショルティ指揮シカゴ交響楽団と数回に渡る定期演奏会でセンセーショナルな成功を収めるなど国際的に活躍しました。
そんな田崎悦子が半世紀以上の音楽人生の様々な局面で、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの最晩年の作品に接し、研究を重ね、思いあぐね、断念し、そして再度向かい合って、ついに録音・リリースに至ったのが今回の3巻シリーズ「三大作曲家の遺言」です。
「作品に対し、絶対的に謙虚である事。演奏家とは”黒子”でなくてはならない」という信念のもとに、まさに魂を捧げひとつひとつの作品に真摯に向かい合う姿勢は、この3人の作曲家達の姿と重なり合うようです。
ブラームスの小品集は、冷気をたたえた音色で豊かな重厚感のうちに弾き進み、これほど深々とした情感の呼吸を通わせて老年の孤独と諦めを滲ませた演奏があろうかと思うほど、作者の心境に共感しています。
ベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタ3曲では、そのどの音の視線も、人間の内なる苦悩と祈りに向けられつつ楽曲を進めていきますが、知らず知らずのうちに耳と心は徐々にエンディングの頂点に昇り詰めていき、そこには勝利の輝きと歓喜のエクスタシーが満ち溢れています。ベートーヴェンは「苦悩の人」ではなく、「勝利の人」であった、という事を納得せざるを得ない演奏です。まさに「第九」の世界を彷彿とさせます。
それまであまり演奏されていなかったシューベルトの遺作三大ソナタを世界に発信したルドルフ・ゼルキンがその曲達と向かい合う姿と長らく接し、恩恵を受けた田崎悦子のシューベルトは、くまなく愛おしさとパッションをもってよりそう息遣いが生で感じ取れます。大河ドラマを見ているかのように聴くものは楽曲のもつ複雑な感情のあや、官能美、激動のドラマに巻き込まれます。31才の死に直面して書かれたこの遺作三大ソナタに田崎悦子は全精神をかたむけ、母のように抱擁し、みずからの人生を重ねてゆきます。